■内容紹介『家のない少女たち』

■著者の紹介

鈴木大介さん

ルポライターとして子供や女性、若者の貧困問題を題材に取材をされていた方です。

いわゆる「裏モノライター」。

現在は脳梗塞の後遺症により取材活動が難しくなったそうですが、闘病記や、発達障害者への理解に関する問題提起、その支援者向けの指南といったテーマで執筆活動を、積極的にされているそうです。

鈴木さんの紹介記事の一節に

「元々自分自身ではなくて

 他人が置かれた理不尽に対してやたらに怒る子どもだった」

とありました。

きっとご本人のそういう気持ちが、記者魂に火をつけたのだろうなと思います。素敵なメンタリティををお持ちの方です。

出典:サイト「私のウェルネスを探して」

貧困女性取材からジェンダーバイアスへの問題提起まで。高次脳機能障害を負った文筆家・鈴木大介さんの原点とは?【誰か弱いもののために書く】

 

 

■内容紹介

2002年頃、当時話題になっていた「プチ家出少女」の取材していたとき、プチの子たちに紛れて、ずっと家に帰っていない少女たちがいることに気づいたそうです。

この本はそういう「ガチ家出少女」たちを取材したルポタージュになっています。

取材をした10代の家出少女たちは合計18人。彼女たちが語る壮絶な経験談には目を見張るものがあります。なにより、鈴木さん視点が入っていることで読み応えが増しているなと感じます。随所にでてくる鈴木さんの洞察に富んだ意見に納得されられたり、家出少女たちの境遇に対する鈴木さんの強い憤りの言葉に、胸が熱くなったり。とても読み応えのある一冊でした。

僕はこの著書を読んで、ライターとして自分が進むべき道はルポライターなのかもしれないと、密かに感じるようになりました。

 

 

家出少女たちの壮絶なバックグラウンド

 

家出少女たちは、家庭内に居場所がないということに共通しています。ほとんどの少女たちは、母親からの暴力や、義父からの性的凌辱を経験していました。

 

なかでも、特に印象に残ったのは遥馨という少女です。

 

遥馨は取材協力者であるキャッチの男から紹介を受けた家で少女です。

なんと、紹介を受けたまさにその日、施設から逃亡中だった。

 

彼女が逃げてきたのは「児童自立支援施設」です。

自立(児童自立支援施設)とは、未成年の少年少女のなかでも、とくに触法行為をする可能性が高いと判断された子供たちが、送致される施設なんだそうです。

 

遥馨は児童相談所にいたのですが、度重なる脱走のため自立に送られてしまった。

 

取材の最中も、捕まることを警戒している遥馨。

どうしてそれほどまでに脱走を繰り返すのか…?

 

彼女は被虐待児でした。少年院あがりの「ヤンママ」である母親が、彼女を産んだのは19歳の時。ひどい虐待を受けていたようです。

 

「(殴られた)痣、すごかったもん昔。『おまえなんかいらねえから、お金ないんだから自殺しろ』って言われたり。」

「でっかい布切り鋏でチョキンってされたり。それが一番怖かったかな」

 

食事がでてこない時期もあったので、母親が寝た後い牛乳を飲んだり、ご飯とふりかけだけで生活していた時期も。「だから身長伸びなかったのかな」と彼女は言います。

 

彼女が脱走を繰り返す理由は、周囲からの”助け船”がなかったこと。

 

家に地元の児童委員は来ていたが、質問をするばかりで根本的な解決(=虐待を止めさせる)に導いてはくれなかった。遥馨は大人たちに失望した。

 

遥馨は中学校入学時にようやく児童相談所に入ることができたが、施設の子供たちは、すでに小学校低学年や未就学の頃から暮らし続けていて、馴染めない。職員からも元からいる子と差別されているように感じでしまう。彼女は周囲を拒絶するようになりました。

 

彼女は、中一で不登校になり、中二で脱走を繰り返すようになったそうです。

鈴木さんは遥馨のことを「虐待からの救済が間に合わなかった少女」なのかもしれないと書いていました。

 

遥馨は脱走を繰り返すうちに、外で稼ぐ方法を覚えるようになります。家出少女たちの稼ぎ方は、後ほど別の章で紹介します。

 

取材当時、自立からの脱走も繰り返していた彼女は、次は国立の自動自立相談施設(矯正教育や外出制限が厳しい施設)に送られることがわかっている。そしてその次は、少年院。

 

取材の後も、彼女は逃走を続けました。

その後、ほかの家出少女から聞いた話では、ネットで知り合った家出中の男子高校生と彼氏彼女の関係になったそうです。

 

「嫌だけど、そうも言っていられない」と辛い援交を続けてきた彼女にとって、初めての恋愛。

鈴木さんも、その後の消息はわからなくなったそうですが、思いやりのある人に幸せにしてもらっていることを願うばかりです。

 

 

泊め男という存在

 

家出少女たちの稼ぎ口

 

家出中の悲劇

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